このようにロープひとつとっても安全な設計が定められているが、設置後のメンテナンスの良否が機能維持の面でいかに重要かがうかがえる。また法規での規定では、さまざまな安全装置を付けることが義務付けられている。たとえば「かごと昇降路のすべての出入り口が閉まっていなければ、かごが動かない装置」(戸が開いたまま、かごが動いたならば大変危険である)が挙げられる。また「定格速度の一・四倍を超えない内にかごの降下を自動的に制止する装置」(非常止め)など合計一三の安全装置の設置が義務付けられている。エレベーターメンテナンスの技術力の低下により、人身事故または大事故等の問題が今後大きく報道されはしないかと危倶している。エレベーターの技術は新幹線の技術に匹敵するとも言われ、技術力が損なわれると大事故に発展し、故障の多発もありうる。技術とはミリ単位の正確さと、電気回路的には数万に及ぶソフトの理解力である。単純に技術を取得することは、ありえない職種と言える。にもかかわらず、この難しい技術をいとも簡単に持っているという業者と、デフレ経済による影響で安値のメンテナンス会社の横行が始まっているようだ。発注するお客様は、会社の体質、内部体制、技術力、品質保証体制、安全管理、教育システム、サービスネットワークの充実などの業者調査を必要としなければならない時代といえる。